
小浜港でイシモチを釣ってみた件
前回の記事からの続きです。
小浜港で「イシモチ」が釣れてるとの情報をキャッチしましたが、はて。
「いつもこの時期になると小浜に集まってくるんですよ震災後から毎年釣れてます」と富原せんせい。
そうなんですか!
私の記憶では「常磐の海のイシモチシーズン」は春〜初夏だった記憶がありましたが(新舞子海岸や勿来海岸で良く釣れる)この時期にもイシモチが釣れるんですね。そういえば確か以前そんな話を釣り友達から聞いたことがあったかも。
小浜港も震災で大変な被害を受けたところですが、その時に湾内が洗い流され、底がほとんど砂地になったためにイシモチが入ってくるようになったのではないかと。
しょうがない! イワシ2匹ではかっこつかないからイシモチ行ってみっか!
というわけで小浜港に到着です。
この小浜港は小名浜より少し南にあるとても小さな港です。奥の方では未だに港内を修理しているのがうかがえます。
辺りを見回すとルアーマンがちらほら。イシモチが釣れてるというのは嘘じゃないようですね。
ん? しかし皆さんどこかぎこちない? とりあえずお話を伺い、見よう見まねこんなワームでイシモチ狙ってみます。
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しばらく竿をふってみましたが全くの無反応。そして底がかなり浅いことを再確認。ほんと浅い。水深5m無いのでは…。こんな所で魚がほんとに釣れるのかと不安になります。
色々試していると、先ほどお話を伺った方が「アタリあっけ?」と声をかけてくださいました。そして「しかしあんちゃんは上手にルアー投げるなぁ。どうやって投げてんだ?」「糸は何号なんだ?」となんか逆に色々聞かれるはめに(^^;
見た目60〜70前後でしょうか、この方、以前は餌釣りオンリーだったけども、ここでルアーでイシモチを釣ってる人を見かけて、1ヶ月ほど前にルアー装備一式を購入して始めたばかりだとか!
「俺たちはみんなまだぺーぺーだから(笑)」と照れくさそうに笑います。(ん?俺たち?
よく見ると周りの方も皆さん同じ年齢ぐらいの方ばかり! 「今日はいくつ釣った」「さっき大きいのに糸切られたんだ」などなどと楽しそうに話してます。
すっげーーー! なんか超楽しそうだしかっこいいぜおいちゃん達!! いくつになっても新しいことにチャレンジ出来るって素敵!
ちょっと皆さんとお話ししましたが、ほんっと皆さん楽しそう。満面の笑顔。これが今まで通りの極々普通の光景、当たり前の光景なんだよなとしみじみ思いました。
そこでこの素敵なおいちゃんたちに今日釣ったイシモチを見せてもらいました。
なかなか良いサイズ! しかも数釣りも出来るんですね! 魚が釣れたと分かれば俄然やる気が出てしまうのが釣り人のサガ。
しかしその後もの凄い強風と寒さのため、1匹だけ釣ってあえなく撤退。
無念…。
この日の釣果、イワシ2匹イシモチ1匹。
簡単にイワシとイシモチが釣れるよ! ってのが今回の記事の見どころだったのに!!
なんということでしょう。
しか〜し、そのあと友人から電話がかかってきたのでリベンジで深夜また小浜に出撃!!(え
だって悔しいじゃないか!(アホ
気温0℃の中、なかな良いサイズのイシモチが釣れました。
さて、このイシモチ、良く見ると傷を負ってる個体が多いことに気付かされます。これは誰にやられたものなんでしょうか。
実は犯人は『ウミウ(海鵜)』だそうです。
この日は見る事が出来ませんでしたが、日中小浜港に行くと、浅瀬に入ってきたイシモチを上手に捕える『ウミウ』が見られるそうです。そしていわきにはこのウミウの生息地として天然記念物に指定されてる場所があるんですよね!
それが小浜港から少し北に行ったところにある『照島』です。震災以前はサンマリーナから良く見えましたね。観光サイトにも紹介ページがあります
いわきの海って本当に奥が深い。知れば知るほどにいわきの海が好きになってしまいますね。
さて、このイシモチなんですが前日250匹釣ったという富原せんせいにいつものように測定をしてもらっております。まずはその結果から
ニベの測定結果を送りします。まあ、NDです。ニベは比較的線量がでやすい魚だったんですが、この2年は出ませんね~。昔はゴカイ類がメインの餌だと思ってたんですが、浮いているニベが浮いているワームに食いつくところを見ると、魚食性も強そうですね。
ニベは比較的放射性セシウムをためやすい魚で、原発事故の2年後くらいまでは、現在の食品の基準値である100Bq/kgを越すような結果もしばしばありましたが、我々の昨年度の検出限界以下か相当に低い結果になってきていて今はほとんど出ていません。世代交代したせいでしょうか。海が着実に奇麗になっていることを実感させてくれる魚ですね。
ということでした。
あれ? ニベってなに? イシモチではなくて? どういうこと???
と思った方も多いでしょう。
今までイシモチイシモチと散々書いてきましたが、「イシモチ」という標準和名の魚は実はいないそうです。イシモチは耳石と言われる聴覚器官が発達しておりこれが『石持ち』の名前の由来になっているそうです。
【イシモチの耳石】
しかし、正式には「シログチ」という魚と「ニベ」という二種類の魚がいて、その総称が『イシモチ』だそうです。この2種類の魚、非常に似ているため一般には「イシモチ」という名前で一緒に扱われておりますが、実は常磐の漁師はちゃんと区別しているそうなんです!
シログチはウロコが剥がれやすいため「ハダカイシモチ」という名で干物にして売られており、干すと淡白な白身の旨味がギュッと濃縮されて美味しくなると言います。
一方、釣りで釣れるのは「ニベ」が多いそうです。「シログチ」より沿岸性が強いからではないかということで、コチラは刺身が美味いそう。
なるほど。
イシモチって「シログチ」「ニベ」という二種類の魚の総称なんですね。また勉強になりました。
というわけで釣ってきたイシモチは今回も美味しくいただきました。イシモチというと「塩焼き」なイメージでしたが、刺身も淡白で上品。「クセの無いスズキ」みたいな感じでとても美味しかったです。皆さんも「ニベ」を食べる機会があったら是非お刺身で食べてみてください!
ではまた!