釣具屋さんに持ち込みされた魚をアクアマリンに持っていった件
うみラボけんきゅう員八木です。
うみラボでは船を出さない冬の間、いわきの堤防から釣れる魚を測ってみようという試みを行っております。もっと身近なもの、生活に密着した「いわきの魚」を測ってみてどのくらいなのか調べてみようということですね。
あまり海になじみが無い方はピンとこないかもしれませんが、海に面したここいわきでは、山にきのこや山菜採りに行くのと全く同じ感覚で「釣り」というものが生活に密着している人も多いんですね。また、釣りというものは結構「情報戦」みたいなところがあって、その年のその季節、どこでなにが釣れてるか釣り人同士で情報交換したり、釣具屋さんなどで情報を仕入れたりすることが多かったりもします。
あくまで私の個人的な思いなのですが、その「情報」のひとつに「どの魚」が「今」「どれくらいの放射能量があるか」というものがあっても良いかなーなんて思っております。
と、いうわけでですね、先日釣具屋さんにその旨を話したわけですが、その釣具屋さんに年明けに買い物に行った所「魚、少し集まってますが持っていきます?」と声をかけられました。
おお! 早速! ありがたいことです!
店員さんが奥の冷凍庫からカッチンカッチンに凍った魚を出してきてくださいました。
カチンコチンなのであまり良く判別出来ないかもしれませんが大きいものはヒラメ。照島近辺で釣れたものだそうです。小さめなのはアイナメ30センチ前後のもの4〜5本と35センチ前後のもの2本。こちらは大津港で釣れたものだそうです。
大津港というのはいわき市の港ではありません。いわき市のすぐ下、茨城県の最北、北茨城市にある港です。県外ということになりますが、私も良く行くいわき市の釣り人にはなじみ深い港です。アイナメは今の所小名浜周辺よりも北茨城方面の方が調子が良いみたいですねー。
「いわきの魚」ではありませんが、せっかくだからとアクアマリンに届けることになりました。
そうそう、「測定」してくださるのが「アクアマリンふくしま」ということも大きいですね。「アクアマリンで測ってもらうんですよ」と言うとすんなり受け入れる方が多いそうです。それほど「アクアマリンふくしま」という存在はいわきの人にとってなじみ深いもので信頼のおける機関なんなんだなと改めて実感します。
そしてまた数日後また面白いモノがあると聞いて釣具屋に行った所出てきたのがコレ(笑
94cmのスズキ!!!!!! でけぇええええええ!!!!
小名浜沖で船で釣ったものだそうです。
コレは面白いですね。
スズキという魚、ルアーマンからは「シーバス」と呼ばれそのファイトっぷりからルアーフィッシングの対象として人気のある魚です。また出世魚としても知られ、セイゴ→フッコ→スズキと名前を変えます。なかでも80cm以上のスズキは釣り人から「ランカー」と呼ばれ自慢のできるもの。ましてや1m超えはテングになっても許されるような代物なのです(笑
そしてヒラメやアイナメと同じように原発事故直後は国の基準値を超える100Bq/Kgを超える個体も多かったため未だに福島県では出荷制限がかかっている魚でもあります。また、スズキはアイナメ、ヒラメなどの「底物」とは違い比較的移動をする魚ではあります。しかし「ブリ」や「カツオ」などの南方回遊系の魚とは違い、近海、すなわちこのいわき近隣を回遊している魚です。
また個体によっては磯場や汽水域にずっと居着いたりする魚もいて、「個体ごとに大きく数値の異なってくる魚」なんですね。94cmともなれば震災時成魚だったことは間違いなくどんな数値が出るか非常に興味深いですね。
さてさて、と、いうことでアクアマリンふくしまより、先日持ち込んだヒラメとアイナメの測定結果が届きました。
さっそくご紹介。まずはヒラメから。釣った場所はいわき市照島近辺。57cmとかなり大きな個体ですので震災前産まれ、震災時には成魚だったと思われる個体です。
結果は見ての通りCs137のみ6.63Bq/Kgという結果でした。Cs134は半分弱として合算10Bq/Kgといった所でしょうか。
今までのうみラボの1F沖のヒラメの測定結果を見てもCs137が検出されるのは50cm以上の個体がほとんどです。やはり震災時成魚だった個体ですので当時の影響が微量残っている。といった感じでしょうか。なるほど。この辺のヒラメもこの大きさの個体はこんな感じなのかな? 1匹だけではまだまだわからないのでもう少し検体を確保して測ってみたい所ですね。
続きましてアイナメ。
こちらは北茨城市大津港。いわきからほんの数km南にある港です。
まずは小さめの個体4匹合計で測った結果です。こちらは4匹の平均全長が31.3cm。
結果はN.Dです。以前富原さんが仰ってたのですが常磐のアイナメは35cm前後より小さい個体が震災後産まれだとの事です。平均30cmほどのアイナメは震災後産まれなのでしょうか。やはりN.Dという結果になりました。
そしてまたアイナメ。釣れた場所は同じでこちらは2匹で測定。平均全長は34.7cm
結果はCs137が5.63Bq/kgとこちらはわずかですが検出されました。先ほども書いた通り、35cm前後が震災前産まれか震災後産まれかの基準になってくるようで検出されるかされないかの目安になってくるのかなという結果になりました。しかし検出されたといっても検出限界ギリギリのごく微量な数値でした。ずいぶん減ってきてるんだなという感じですね。
アイナメに関してはアクアマリンふくしまの富原せんせいにコメントをいただいております
富原せんせい「35cmのアイナメは3~4歳ですので少しでますね。現在は検出されるとしたら35cmで10Bq/kg前後、40cmで20Bq/kg前後、45cmで30Bq/kg前後って感じではないかと思います。まあ、放射性セシウムが検出される個体のほうが少ないです。100Bq/kgを超えるのはここ、しばらくは見てません。50cmのビール瓶ならひょっとして…。誰か釣ってきてくれませんかね~。」
だそうです。
そういえば年末に私が小名浜で釣ったアイナメも35cmでした。
この個体も0〜10Bq/kgくらいだったのかな?と思います。全てがこの法則に当てはまるとは思いませんが、『だいたいこれくらい』という目安にはなるのかな?と思います。しかし50cm以上のビール瓶(というより一升瓶?)サイズのビッグアイナメはどれくらいの数値が出るんでしょうかね。是非ともゲットして測ってみたいところですね!