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第6回いちえふ沖海洋調査レポ(前編) – いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
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第6回いちえふ沖海洋調査レポ(前編)

みなさんこんにちは。

 

うみラボけんきゅう員の小松です。11月9日(日)、「今年最後」のうみラボ海洋調査を行ってきました。「今年最後」というのも、冬の間はいわき沖の海域で波が高くなりやすいのですね。けんきゅう員の安全を最優先に考えると冬の間は船出すの辞めたほうがいいべ、という判断もあり、12月から翌年3月までは調査をお休みしてるのです。そんなわけで今年最後になったわけですが、調査結果をこちらでレポートします。

 

うみラボ第6回海洋調査が行われたのは11月9日(日)。ちょうど第1回調査が行われて1年になりました。感慨深い船出です。順風満帆に調査を! と希望はしたものの、なんとこの日の海は、非常に波が高い。ゲロゲ〜ロ。ほとんどの方が酔い止めを服用しての出航。やはり自然相手ですからね、仕方ありません。

 

※このうみラボ調査は、あくまで独立した有志団体による「独自の調査」ですので、出荷規制や試験操業の判断基準になることはありません。国や県の調査とはまったく関係なく「自主的に」行われております。それをふまえたうえでお読みください。

 

―いざイチエフへ

 

いわきを出ると、広野火力発電所、福島第二原子力発電所を経由し、富岡漁港、小良ケ浜漁港跡などを巡りながら福島第一原子力発電所にたどり着くのですが、このルート、非常に学びが多い。地形を「俯瞰」しながら、発電所が建設された「立地条件」を確認することができるわけです。例えば「海そばのこんなに低いところにあるのか」とか、「地下水が沢となって海に注ぎ込んでいるのか!」とか、様々な発見があるわけです。

 

また、こうした「点」としての理解ではなく、「浜通り」が「エネルギー生産地帯」であるという「面」としての理解が深まりますし、常磐炭鉱から発するエネルギーの歴史をも知ることもできるわけです。これまで単なる情報として知っていたことが、実際に体験することで「立体感」が出てくるんですよね。うみラボのツアーとしての「効能」は、決して小さいものではありません。

 

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2014年11月9日「うみラボ6」の1F

 

出発から1時間ちょいで福島第一原子力発電所に到着します。前よりもクレーンの数が増えたような気がしますね。1年前の「第1回うみラボ」の写真を見比べてみると、確かに増えてるんです。これ、1号機建屋の屋根の取り外し作業が行われてることもあり、クレーンの数が増えているわけですが、復旧作業も想像以上に進んでおり、整然とした現場になっている印象。これはやはり現場で作業している方々への敬意を感じずにはいられません。

 

―1F沖で調査開始

さて、そんな1Fを視界に捉えつつ、海底土の採取 → サンプル魚の採取と、テキパキと進めて行きます。今回の調査では、アクアマリンふくしまの富原獣医がおりますので、前回のような「失敗」にはならないでしょう!

 

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富原獣医がエクマンを華麗に操る。今回はNHK福島の取材が入りました

 

さて、続いては男だらけの釣り!!!

 

前回の釣果が散々だったこともあり、今回は皆さん目の色が、気合いが違います!!! なんとしても釣ると、そういう本格的な装備でいらっしゃっている。1F沖1.5km。釣り人たちの負けられない戦いが始まりました!!

 

久しぶりの参戦となった計測アドバイザーの津田せんせいも今回は気合いが違います。わざわざ前泊で仙台からいらっしゃって頂き、お疲れのはずなのに、釣り竿を握った途端にスイッチが入ったのでしょう。いつもの柔和な表情が鬼の形相となっておりました。

 

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津田せんせいが見事にヒラメをゲット!!! 見て下さいこの満足げな表情w!

 

 

これですよこれ、うみラボはこうでなくては! 確かに我々「調査」が第一目的なのですが、福島第一原子力発電所沖ということを差し引いても(差し引いていいのか?)、海で魚を釣るというのは、やはりエキサイティングなもの。もちろん真剣に調査はしますが、どこかに「楽しさ」のような感覚がないと長続きしないと思うのです。ですから調査ではあるのですが、皆さん楽しそうだし、そういう様を見ると、やはり福島の海に早く笑顔が戻ってきて欲しいなと痛切に感じるんです。

 

そしてその笑顔が、この日だけはさらにとてつもないものに。そう、爆釣モードに入ります。

 

うみラボの八木けんきゅう員がヒラメをゲットォォォォォッ!!

 

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八木隊員の竿に神が降臨。この後奇跡の爆釣モードへ突入

 

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イナダも竿にかかる。八木隊員が本領を発揮!!

 

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大アイナメまでゲットした八木隊員。フグ大臣の汚名返上。

 

 

そしてこちらでもヒラメェェェ!! そしてこの笑顔!! やはり自然との対峙は刺激的なんです。しかし、まだヒラメは試験操業の対象にはなっていません。なんでこんなにうまそうなヒラメが食べられないんだ。本当に悔しい。原発事故が奪ってものの大きさを噛み締めずにいられません。市場に出回れば数千円、下手したら1万を超えるようなヒラメですよ?

 

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こういう魚を「捨てなければならない」漁師の皆さんの気持ち、少しわかるような気がします。私たちは特段漁業を生業にしていないから気楽なものですが、こうして釣れた魚を売ることができないというのは、私たちの想像を遥かに超える悔しさだと思います。だから「福島の海は終わった」などとは絶対に思いたくもありません。何とか一刻も早く安全性が確認され、試験操業が再開されることを望みます。

 

こちらはキツネメバル! 通称マゾイ。釣れた時は「クロソイか!」と思いましたがキツネメバルだそうです。これですねえ、日本あちこちで釣れる魚でして、刺し身にしても塩焼きにしてもめっちゃうまい魚だそうです。私食べたことないんですが、「鯛よりもうまい」という評判もあるそうです。じゅるり。

 

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刺身でうまいマゾイ。美味そうな顔をしてやがります

 

しかしですねえ、メバル系は比較的浅い海域の海底に棲んでおり、さらに「あんまり移動しない」魚です。おそらくそれなりのセシウムが検出されるだろうことが予想されます。もちろん、試験操業の対象にはなっていません。こちらは放射性物質の計測をやってみたいサンプルですね。どのくらい出るのでしょうか。

 

さあああ、うみラボ6の釣果がこちら!!!!

 

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うみラボ始まって以来の爆釣となった第6回うみラボ

 

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刺身で食べたい欲求を抑えて計測に回す。苦渋の決断

 

ヒラメは大小合わせて10枚以上、アイナメ、イナダ、さらにはキツネメバルなどがたんまりと釣れました。まさに「入れ食い」ですね。これまでの新聞報道などで、試験操業というある種の「資源管理漁業」が続いていることから福島の漁業資源が回復していることがわかっていますが、こうして釣ってみるとそれを実感しますね。

 

もちろん「安全」が最優先であり、試験操業を少しずつ拡充していくほかないのですが、福島の海の豊かさが少しずつ戻ってきている。いや、前にも増して豊かになっている。そんなことを実感できました。

小松けんきゅう員
小松けんきゅう員

うみラボけんきゅう員。釣るよりも食べるほうの専門。