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小名浜港でサヨリ釣って測ってみた件 – いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
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小名浜港でサヨリ釣って測ってみた件

みなさんこんにちは。うみラボけんきゅう員の八木です。

 

前回お伝えした通り、1F洋上調査は冬の間お休み致しますが、ブログの読者から「1Fの洋上調査も大事だけども、実際いわきの港で釣れるような魚ってどうなってるの?」というお声を頂きました。

 

確かに!

 

我々は元々このうみラボを「福島の海がどうなってるのか知りたい! 確かめたい!」という思いで始めたわけですから、地元の海がどうなってるのかも発信しなくちゃいけません。

 

いわきには元々釣り好きな方も多くいらっしゃいますし、休日ともなれば小名浜港やアクアマリンは釣り人で賑わうのが当然の風景でした。震災直後はほとんど見かけなくなった釣り人も、ここ最近は良く見かけるようにもなりましたし、釣った魚も持ち帰る人も以前と比べて増えてきています。しかし、それでも依然としてアイナメやヒラメなどを泣く泣くリリースする方も多いと聞きます。

 

事故直後1年くらいは、行きつけの釣具店でも魚の放射能量を測っていたという話を耳にしましたが、今はほとんど聞きません。事故から3年以上経った今だからこそ、頭の中の『近場で釣れる魚の放射能量のデータ』をアップデートする必要があるのかもしれません! というわけで今回から「いわきの防波堤から釣れる魚を測ってみよう」というのをやってみようかなと思います!!

 

というか「なんで今までやらなかったの?」と言われそうですが…。

 

はい。それはですね・・・・。けんきゅう員八木の怠慢であります(笑)!!
(やろうやろうとはね、思ってたんですよ。はい)

 

というわけで、何釣っぺ。

 

基本的にいわきの冬の釣り魚のターゲットは根魚が主流です。そうです。アイナメ、ドンコ、ソイ、メバルなどです。ですよねー。気になりますよねー。そして、あまり放射能関連では話題に上らない所では、夏のアジから変わっていってサヨリ、イワシなど。こちらは初心者でも簡単にサビキなどで釣れます。このあたりがいわきで釣れる冬の魚の代表です。

 

さて、何がら釣っペな。。。。と悩んでる所にうみラボでもおなじみ、アクアマリンふくしまの獣医、富原せんせいから緊急入電が入りました。

 

「先日アクアマリン前でサヨリ200匹釣りました(笑)」(富原)

 

出たああああああっwww! 聞いても無いのにいきなり始まる釣り人特有の釣果自慢! しかも200匹とか頭おかしい(褒め言葉)。でもそんな話聞いたらいてもたってもいられません! 悲しいけどこれが釣り人の宿命なのです。早速週末にアクアマリンへ向かいます。

 

着いたのはお昼過ぎアクアマリン前にはすでに大勢の太公望たちが釣り糸を垂らしておりました。小名浜港にこれだけの釣り人が戻ってきているんですよ皆さん!!

 

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アクアマリンの先端は「釣り特区」となっており、小名浜港のような大きな港湾内にこういう釣り特区があるのは全国でも珍しいそうです。ちゃんと海に落ちない様にチェーンもあり足場も良いので小さなお子さんとの釣りに最適ですね♪

 

しばらくすると富原せんせいも登場。周囲のおっちゃん達と親しげに会話しており、しかも「先生」と呼ばれています。あーここの釣り人たちはみんなアクアマリンの獣医だと知ってるんだなと思ったら意外や意外、みんな知らなかったようで『釣りの』先生らしいです。富原せんせい恐るべし(笑)

 

さて、私はサヨリ釣りが実は初めてなのでしかけやら何やら全て富原”せんせい”に教えてもらって実釣開始。仕掛けは「延べ竿」に「ウキ」、「ワカサギ用の2号針」というシンプルなもの。餌はアミです。私は一応ルアーマンなのでアジ用の竿に仕掛けをつけて開始します。

 

で、、、、、

 

簡単に釣れた(笑)

 

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しかしさすがは富原せんせい、私の3倍のスピードでさよりを釣り上げていきます(赤い彗星かw!!)。いやあ、さすがは先生! というわけで数時間で2人で50匹以上のサヨリを釣り上げ終了。

 

で、ここまでは私の以前の釣りブログと一緒(黒歴史)。

 

ここからがうみラボのうみラボたる所以です。「富原さんが釣り上げた200匹のサヨリ」のデータを参考にしつつ、サヨリの状況について富原せんせいのコメントをもとに考えていきましょう。まずはその200匹の計測データです。

 

 

セシウム合計でN.D.です。

 

これ「196個体」となっているのは、魚体が非常に小さく、筋肉の体積が小さいので200匹くらい捌かないと1回の検査に足りる量にならないんですよね。200匹捌くんですよ? 腱鞘炎になりますよこれww 普段わたしたちが目にする「モニタリング調査」のデータも同様に、皆捌いて検査してるわけです。本当に頭が下がります。

 

で、このN.D.という結果。まあ、「沿岸性回遊魚」なので当然の結果だよなと思っていたのですが、詳しく聞くとなにやらそうでもないようです。ちょっとビックリしましたが、富原せんせいからコメントをいただきました。

 

サヨリは本来、沖合いにいる魚ですのでサンマと同じく放射性物質の蓄積はしづらいと考えていましたが、水産試験場の調査で四倉沖のサヨリが1度だけ100Bq/kg超えたんですよね。それも事故から2年近く過ぎてからです。これは私にとっては衝撃的で、試料の取り違えなどの可能性も考えていました。ただ、その後の調査で、100Bq/kg を超えないまでも、数十Bq/kgの蓄積が見られたこともあったので、間違いじゃなかったんだなと思いました。

 

サンマよりは沿岸寄りなので汚染水の影響を受けやすかったんですね。100Bq/kgを越えた群れは原発近辺にしばらくいたのかもしれません。サヨリの寿命はサンマ同様2年で、今は震災前に産まれたのはいません。今釣れている小さいのが今年産まれ、もうすぐやってくる大きいのが去年産まれです。餌のことですが、現在、海洋のプランクトンはそれほど汚染度は高くないんですよね。それより、ちょっと気になるのが川の河口に集まって流れてくる餌を食べているサヨリです。カワムシなんかは非常にセシウムを蓄積してますし、それを食べればそれなりの汚染も引き起こされるかもと思っています。原発周辺の河川環境だと数字に出るぐらいの汚染は引き起こされるかもしれません。

 

サヨリは成長が早いので代謝も早いと思っています。例え汚染されても比較的早く排出されるのではないかと思いますので、100Bq/kg超えたサヨリは汚染されてすぐの群れだったのかなと思っています。いずれにしても、サヨリに関しては他の魚よりも汚染される原因として考えられることが多くて難しいです。寿命2年(代謝が早い)、プランクトン食、沿岸性回遊魚、河口が好き(水の流れが好き)。この辺が汚染の原因とされるポイントですかね。

 

なるほど。やはり魚は難しい。様々な要因が絡んでくるんですね。

 

なお、福島県沖のサヨリは、まだ試験操業の対象には入っていません。

 

しかしながら、今年は知ってる限りではほとんどが検出限界未満とのことで、直近の検査でも196検体合わせて計測してN.D.だったということもありますので、せっかくですので美味しくいただきましょうかね。今回富原せんせいと釣った50尾のサヨリのうち大きめのものをもらいました。なかなか良いサイズですね。

 

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サヨリはこんなに簡単に数が釣れるのに高級魚!

 

お刺身にしてよし!

 

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一夜干しにして焼いてもよし!

 

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天ぷら、唐揚げと揚げてもよし!

 

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更に漁協女性部の方に聞いた所だと「お吸い物』にしても美味だそうです。我が家ではお刺身、天ぷら、唐揚げ、一夜干しとしていただきました。

 

サヨリ、ごちそうさまでした!

ぴぽけんきゅう員
ぴぽけんきゅう員

うみラボけんきゅう員。生粋の釣り人。専門はオカッパリ。