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2017年8月のうみラボ&調べラボ結果 – いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
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2017年8月のうみラボ&調べラボ結果

うみラボ共同代表の小Mさんが「みちのく巡礼」に旅立ってしまったので、今回はワタクシ、江尻がお送りいたします。小Mファンのみなさま、大変申し訳ございません。

 

巨大な台風5号が数日前から南洋を迷走し、開催が危ぶまれておりましたが、調査当日(8月6日)未だ奄美沖ということで、なんとか無事に出港となりました。沖はうねりが大きいだろうということで、船首側はかなり波を被るという予想でしたが、そう聞いてしまうと船首に集まってしまう悲しい人間の性で「前に集まりすぎー」と船長に怒られてしまいました(笑)

 

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いざ出港してみると、うねりはあるものの波長が長く、思ったほど揺れません。快適なのですがガスが酷く、ほとんど何も見えない状態。本来なら広野の火力発電所や第二原発などを周辺の地形と共に観察できるところなのですが、残念でした。楢葉沖の浮体洋上風力発電も全く見えず。

 

広野から楢葉あたりではちらほらとトビウオが飛んでおりましたね。それを狙ってウミネコが低空飛行。写真撮ろうとしましたがうまく撮れなかった、、残念。

 

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富岡沖まで来まして「本当はあのへんに観陽亭が、、」などと話しておりますとみるみるガスが切れ、参加者の皆さんにもその位置を確認していただくことができました。観陽亭は海抜約15mに建つホテルでしたが、津波の高さは21.5m。2階部分まで波が押し寄せたと云います。

 

1Fの1.5km沖に到着しました。アクアマリンの富原さんと吉田さんが採泥を行います。

 

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一般社団法人AFWの吉川さんから廃炉についてのレクチャー。ガスで何も見えないのですが、それを予見した吉川さんはなんと!前日夜なべして渾身の1F模型を作ってきてくれました!伝える努力!ずばらしい!見習いたい!

 

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その気迫に押されたのか、解説が終わる頃にはなんとガスが切れ、眼前に巨大な1Fが。どよめく参加者のみなさん。そうでしょうそうでしょう。分かる。分かりますよ。

 

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記念すべき「うみラボ」の第一回目。久ノ浜を出港後、皆でぎゃーぎゃーと騒ぎっぱなし。不謹慎丸出しで進んで行きましたが、最後の岬を廻って1Fが見えた瞬間、全員口がきけなくなってしまいました。あの沈黙を私は一生忘れないでしょう。みなさんは今、あのような感じなんでしょうね、、。

 

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さて、質疑応答もあった充実の廃炉レクチャー後は、2km沖に移動しましていよいよ釣り開始です。気温もみるみる上がってきました。

 

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まずは型のいいアイナメから。

 

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釣り師への道を着々と歩む橋本隊員がヒラメを上げます。

 

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しかしこちらは35cmほどということですぐにリリース。2km沖だったので検体としてもよかったのですが、資源保全を優先しました。結局2km沖ではヒラメが3匹釣れたのですが、40cm越えの1匹を除いてリリースしています。

 

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そのほかに釣れたのはこちら。アイナメ、シロメバル、クロソイといったところ。それなりに釣れましたが、「ま、夏だからあんまり釣れないかな」とアクアマリン富原先生。次は10km沖へ移動します。

 

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魚探(魚群探知機)にはメバルの群れが映ってるようで今日は「メバル祭り」かと思われました。

 

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しかし!来ました!巨大ヒラメ!でかい!

 

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その後続々とヒラメ!ことごとくでかい!

 

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開けてみれば、夏だ!ヒラメ祭り!見てくださいこのサイズ!

 

十分な検体が確保できた後はリリースしますが、70cmクラスともなると事故前からの個体である可能性が高く、ここは敢えて検査に回すことにしました。結果が興味深いところです。

 

ちなみに富原先生に聞いたのですが、常磐沖はよその海域より魚の成長が早いんだそうです。はっきりした理由は分からないとのことでしたが、やはり「豊かな海」なんでしょうね。ヒラメ以外も型のいいのが上がってます。

 

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講評としては、今回はクロソイ、マゾイが少なかったですね。マダラはゼロ。何といってもヒラメの回でした。

 

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帰りの船もあちこちで釣り談義、海談義。

 

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行きに見られなかった景色も見ることができました。

次回の調べラボは8月20日です。解体のメインはもちろん巨大ヒラメ。料理の方はまだ未定となっておりますが、この流れで行くとヒラメの可能性が大なんじゃないでしょうか。乞うご期待。

 

さて、A尻特派員の報告に続いて、調べラボのレポートはいつも通りK松がお送りします。下の図をクリックすると、PDFファイルが開きます。詳しく見たい方はクリックしてPDFもチェックしてみてくだされ。

 

スクリーンショット(2017-09-15 15.50.48)

今回は珍しく2検体から放射性物質が出ました。ちゃんと調べればこうなるとは予想がついてましたし、一桁ベクレルで収まってるのであまりドキっとはしませんでしたが、しかし依然として出るということでもあるわけですね。勉強になります。

 

富原さんからのコメント。「しばらくN.D.が続いていたのですが基本的にはこのレベルの汚染は残っています。ですので、今回はヒラメをたくさん釣ってもらったのですが、釣ってもらった甲斐はありました。今回、調べラボでは検出限界を下げるために通常500gで測定しているところを、1kgで測定するようにして検出限界を3Bq/kgほどに下げてみました」。

 

このぐらいのレベルの汚染はまだ残っている。富原さんの言う通りかもしれません。私たちがただ幸運で検出下限値未満に出会いまくっていたということなのでしょう。検出されたヒラメは2検体とも「9歳以上」と高齢ですね。高齢のヒラメの場合、2011年に海洋に漏れ出した超高濃度汚染水のまともに受けたものと考えられています。当時からある程度年齢がいってるので、代謝も遅く、こうして残ってしまうということです。

 

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この日も手際よくヒラメをさばいた富原さん。子どもからの熱い視線を浴びていました。

 

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解体をする時は、富原さんを前に、いつも子どもがビシっと立っています。

 

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吉田画伯の「魚のトリビア」も根強いファンがいつ。間口は常に広く。

 

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この日の昼ご飯は久しぶりの「ほっき飯」でした。

 

この日のほっき飯、最高でした。初めから貝をご飯と混ぜずに、「後のせ」で生食感を楽しむのがアクアマリンスタイル。肉厚でジューシーなほっき貝。なんともいえなうまさ。ご飯にもダシが沁みて、3杯くらいおかわりできそうな優しい味に仕上がっていました。

 

さて、今日はヒラメ2尾から放射性物質が検出されました。ただ、これ、国の基準値を大きく下回ってるばかりではなく、非常に低い値ですね。国はおろか漁協の自主基準50Bq/kgも下回っていますし「安全」と言えます。さらに、こうした回復した漁業資源を、市民共有の財産と位置づけ、持続可能な漁業のために役立てて頂ければと思います。せっかく安全になっても、食べ尽くしてしまったら意味がありませんからね。

 

ここのところの調査で改めて「福島県の魚からは、漁協の基準(国より厳しい)を超えるような放射線量は検出されない」ということが分かって来ました。すでに試験操業の対象になっているヒラメですが、もっとも汚染が懸念される「8歳以上のヒラメ」ですら、極めて検出限界に近い形での検出です。福島の海は、この2〜3年でかなり回復が進んできたことの証ですね。

 

安全がこれだけ証明されてくると、市民団体として今度は何を考えていけば良いのか。うみラボの次のステップも考えねばならないかもしれません。それくらい回復が進んできている、ということです! ぜひ皆さん、今回の記事も、福島の海の現状のアップデートにお役立て下さい。

 

 

 

小松けんきゅう員
小松けんきゅう員

うみラボけんきゅう員。釣るよりも食べるほうの専門。