2017年9月のうみラボ&調べラボ結果
遅ればせながら、9月のうみラボ&調べラボの結果をですね、こちらにご紹介したいと思います。もろもろ忙しく、当日のツイッター投稿で満足してしまい、こうしてブログで発表するタイミングが遅れ遅れになっておりますが、やはり腐っても「ラボ」ですのでこうして調査結果はお知らせせねばと気持ちを新たにしているところでございます。
さて、今回お知らせするのは9月の結果です。この日は「ヒラメ」が豊漁でした。いちえふ到着後、吉川さんの廃炉講座+海底土採取となります。吉川さんの模型が回を重ねるごとにデラックスになっており、説明が分かりやすくなってきてます。目の前にいちえふを見ながらの解説。これはですね、今のところ「うみラボ」だけの贅沢なコンテンツになっております。
当該海域、ものすごくヒラメが釣れます。常磐沖のヒラメは普通に出荷されておりますが、20キロ圏内での漁は自粛されており、その影響で、この海域のヒラメはものすごーく量が増えて、しかも大きい。釣りの魅力をダイレクトに感じることができます。こんなふうにビギナーも楽しめるのは、福島の海の間違いない魅力の一つですね。これをどう膨らませていくのか、議論を始めないと遅くなるかもしれません。原発事故というハンデを負いながらも、福島の海はやはり本来の豊かさを回復しつつあります。ここにものすごい価値がありますよね。
さて、これらの魚の放射線量はどうだったのか。調べラボの結果についてお知らせします。調査結果はこちらをクリック。
結論を申しますれば、10歳のヒラメ(80cmモノ)1匹から放射性セシウムが6.20Bq/kgほど検出されました。さらに今回は2歳(つまり震災後生まれ)の若いヒラメを3検体ほどまとめて1つの試料にして計測しているのですが、そちらはN.D.(検出下限値未満)でした。
震災前生まれの老齢ヒラメから検出。/ 震災後生まれの若いヒラメから不検出。ということになりますと、「現在の海域からの影響」は非常に小さいな、むしろ、震災直後の高濃度汚染水の影響がまだ残ってるんだな、ということが分かってきます。2歳のヒラメは、この2年でほとんど被曝していないということになります。今の海はそれだけ汚染が軽減され、かつての姿を取り戻しつつあると言うことになります。
ここのところ、ほとんど放射性物質が検出されません。検出されないと、やはり傾向も対策も読めないのですが、今回はやはり老齢のヒラメからセシウムが検出されております。やはり測り続ければ出るものも出てきますね。もう少し現状を知るためには検出されるような個体を調べる必要もありますが、うむ、回復しているのなら何より。
いつも評判の試食コーナーはマトウダイでした。フランス料理などではムニエルにされたり、わりと超高級魚の扱いだったりしますが、調べラボでは惜しげもなくこのマトウダイを振る舞っていきます。刺身の状態で食べられるなんて最高です。調べラボは、福島県でも最も安い価格で福島の最高級品を食べられるイベントなのかもしれません。
さて、9月の調査はこのように改めて「老齢魚」の傾向を知る回となりました。もちろん若い魚だから安全だと言うわけではなく、何かがあっても分かるよう測ることが大事だし、測るということの重要性は変わりません。こうして続けることで見えてくるものもありますよね。今のところの重要な結論の一つは、間違いなく回復が進んでいるということです。もちろん、漁業をどうするのか、という問いのほうが圧倒的に重要ですが、こうして自然環境が回復しているということを私たちが知ったうえでの「漁業をどうするか」にいかなければならないと思います。みんなで考えていきたいものです。