2017年11月のうみラボ&調べラボ結果
みなさん、こんにちは、うみラボ研究員の小松です。遅れ遅れになっておりましたが、11月の調査結果をこちらでレポートします。10月は天候不順(台風)のため開催できませんでした。申し込んで頂いていた皆さん、申し訳ないっす。天気ばかりはどうしようもありません。
こちらが11月のいちえふの様子。前回と大きく変わった印象はありません。震災から来年の3月で7年にになりますが、7年ですよ7年。7年もずーっと復旧作業が行われているわけですが、ご覧の通り、どこぞの建設中の発電所みたいな感じでして、事故当時のような「ラスボス感」はもうなくなって久しいですね。非常にシビアな現場であることは重々承知ですが、いやあ、ここまで復旧が進んだか、という感じで感慨深いものがあります。
安定の釣果でした。今回はホシザメをゲットできたのがよかったです。サメなどの軟体動物は、魚に比べて放射性セシウムを溜めやすく、しかも1歳くらいで成魚になるモノが多いため、この海域の現在の汚染状況を知るためには格好の獲物なんです。釣るのはね、そりゃあ簡単じゃないと思いますが、大事なサンプルになります。後ほど、調べラボのレポート時に、こちらホシザメについては詳しく紹介していきますよ。
というわけで、後日行われた調べラボの振り返りです。
まずは測定データですが、こちらをクリックするとPDFが開きます。ポイントは、やはりホシザメから放射性セシウムが9.60Bq/kgほど検出されたことです。これまでは比較的検出されやすいとされていたシロメバル(15歳魚含む)3体合計でN.D.になっています。しかしホシザメから検出ということですので、やはりサメから検出される程度にはまだ海中に放射性物質があるということになります。
しかしヒラメといいクロソイといいキツネメバルといい、サメ以外すべて検出下限値未満でした。ここのところそういう状況が続いていますね。原発近傍でもかなり放射性物質の排出が進み、原発事故直後に放出された超高濃度の汚染水の影響が薄まってきているようです。震災前生まれの魚たちのデータを見ると、その傾向がより強くなってきているのを感じますね。
2017年全般に言えることですが、もうすっかり「不検出」のものばかりになってきました。福島県のモニタリング調査などでも同じような結果になっていますが、漁協の基準値である50Bq/kgを超えるような個体は見つけるほうが困難になってきます。国の基準値である100Bq/kgになると、もうほとんどいないのではないかと思われます。100を超えるとなると、考えられるのは、いちえふ湾内で生まれ育ったような個体が外洋に逃げ出してきて、それが漁獲されたというようなレアケースかなと。そういうレベルになってきています。
福島の海に関する情報、現状の理解のアップデートにお役立て頂ければ最高です。次は今年最後のうみラボです!