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真夏の第11回いちえふ沖調査爆釣記 – いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
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真夏の第11回いちえふ沖調査爆釣記

みなさんこんばんは。うみラボけんきゅう員の小松理虔です。暑い日が続いておりますが、皆さんご機嫌いかがでしょうか。1週間遅れになってしまいましたが、8月9日に行われました、うみラボ第11回いちえふ沖調査レポートをお送りします。

 

で、いろいろと何書くべかと悩んでたんですが、当日の写真を振り返ってプレビューしてたらいつになく天気もいいし、魚は爆釣だし言うことあんめえ! ってことで、とにかくこちらの爆釣結果をご紹介しますんでグヌヌ・・・しててくださいね。

 

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まずは原発沖2kmあたりのところで探ってみる。

 

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ありゃりゃ、早速何か釣れましたぞ?

 

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うっひょひょ〜いい!! 見たことないくらいデカいヒラメ頂きました多謝。

 

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アクアマリン富原獣医がブッリブリの超大型シロメバルゲット!

 

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続いてマゾイ。これは刺身や煮付けで食うと最高。じゅるり。

 

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ナンジャコリャアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

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当たりがとまったので原発沖10kmのポイントへ。

 

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料亭で食ったらとんでもない高値になるクロソイ。これは刺身で食べたい。

 

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ピッチピチのワラサ(ブリになる手前の子ども)!! 青魚で釣りも刺激的!

 

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おおおおおおこれは珍しいムシガレイ!! うみラボでは初!!

 

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うおおおおおおおお超ビッグアイナメ! 昆布〆にして頂きたい。

 

つまり爆釣!!!

 

ただですね、これらの魚は、まだ試験操業の対象になっておりません。ちっきしょーこんなにうまそうな魚がガンガン釣れてるのに、これを食うことも煮ることもできずに調査に回さなければならないとは痛恨の極み。ほんと、原発事故によって失われてしまったわたしたちの財産について考えずにはいられません。

 

今回痛感したことがあります。

 

うみラボには、様々な動機を持ったいろいろな人たちが参加されます。原発を近くで見てみたい人。船に乗るのが好きな人。目の前で現状を確認したい人。いろいろです。今回は、「震災前から海釣りを愛していた人」が多数参加されました。それで話を伺ったんです。

 

そうしたら、とある方が「正直今までは踏ん切りがつかなくて震災後は釣りを辞めていた」と言うんですね。原発事故に対する思い、そして魚に対するさまざまな考えや憶測。いろいろ複雑な気持ちになり、気持ちよく釣りを再開することができなかったのだそうです。

 

しかし、今回のうみラボで実際に目の前に原発を視界に捉えながら魚釣りを「楽しめた」ことで踏ん切りがついたと。帰りの船の上でも「これからは気持ちよく釣りができます」とおっしゃってくれたことが本当にうれしかったです。うみラボやっててよかった。

 

そうなんですね。やはり、自信を持ってこの福島の豊かな海と向き合って頂きたい。

 

もちろん、まだ原発の汚染水の問題は続いていますし、試験操業の対象になっていない魚種もあります。しかし、取り返した多くのものがある。それを見つめて欲しいと思います。一部を除いては、もうほとんどの個体がN.D.であり、原発沖から遠く離れたいわきや相馬の海では、その傾向はさらに顕著なものになっています。

 

釣り人たちが堂々と、いやむしろ「何も余計なことを考えこともなく」普通に釣りが楽しめる状況になりつつあります。原発事故の収束まで気は緩められませんが、できる限り地元の釣り人に寄り添ううみラボでなければなあと兜の緒を締め直したところでありますっ!

 

―そして計測へ

 

それでは放射性物質の計測結果も合わせてお送りします。本来でしたら8月23日にアクアマリンふくしまで開催されてる「調べラボ」にて計測を行いますが、調べラボで調べる魚はもう充分に揃っていることもあり、10km沖のポイントで釣れたものを数体、こちらで速報いたします。※なお、検査中の魚の写真でポイントが「2km」となっているものがありますが、すべて10km沖の魚です。

 

試料①ワラサ(ブリ)原発沖10km/64.5cm/N.D.

 

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ワラサ(稚鰤)は回遊魚ということで、これはもう出ないことが想定されるわけですが、結果もN.D.と予想通り。富原せんせいによると、推定年齢は1歳半。胃の中にはイカが入っていたそうです。ワラサのエサは回遊性のイワシや、無脊椎動物の沖アミ類、イカ類なので餌生物も汚染されていません。従ってN.D.だと。ナットクですね!!!

 

 

試料②アイナメA 原発沖10km/47.2cm/Cs合計7.78Bq/kg

 

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試料③アイナメB 原発沖10km/46.2cm/Cs合計7.44Bq/kg

 

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試料④アイナメC 原発沖10km/43.2cm/N.D.

 

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試料⑤アイナメD 原発沖10km/44.8cm/N.D.

 

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続いてアイナメ4尾。一番大型のアイナメAがもっともセシウムがあるため「事故前産まれ?」かと思いましたが、耳石を調べたところ3歳だったそうです。つまり震災後産まれ、現在の原発沖の影響を受けている可能性が高いということです。「アイナメが7Bqになっちゃう程度」にはまだ汚染が残っているとみるべきです。それでも7Bqですので国の基準値は大きく下回ることにはなりますが。

 

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反対に、もっとも小型のアイナメCが実は年齢が一番上で5歳くらいだろうと。するとこちらはギリギリ震災前産まれの可能性がありますが、排出が進んだためか低かった。個体差があるようですね。しかし、いずれにしてもかなり低くなっていることがわかりますし「原発周辺のアイナメで事故後生まれの個体はもう10Bq/kgを超えなさそう(富原)」というのが現状のようです。

 

次はもっと大型の、震災前産まれのビッグアイナメを釣らなければなりませんね!!!

 

 

試料⑥ヒラメA 原発沖10km/67.3cm/Cs合計20.6Bq/kg

 

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試料⑦ヒラメB 原発沖10km/65.3cm/N.D.

 

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試料⑧ヒラメB 原発沖10km/56.8cm/N.D.

 

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さて、こちらは末端価格はいくらになるんだろうといううまそうなヒラメです。3尾計測しておりまして、一番大型のものから約20Bq/kgが検出されております。気になりますね。

 

富原せんせいが耳石から年齢査定したところ大きな個体は8歳、他が5歳でした。「7歳を超えるような老齢魚だと事故直後に流された大量の汚染水の影響が残っていることがあります」とのこと。70cm近い超大物でなければ検出されることはマレである、ということになりますね。これは安心できる材料ですね。

 

うみラボが始まった当初は、震災前に生まれたような個体からはけっこうセシウムが出てたのですが、この2年くらいの間にも排出が進み、大型のヒラメにおいても放射性物質の量は減っていることが推察されます。「震災前産まれのヒラメはヤバい」という認識から「震災前産まれでも100Bq超えるのは稀」というようにアップデートする必要がありますね。

 

 

試料⑨イシガレイ 原発沖10km/61.5cm/Cs合計94.9Bq/kg

 

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最後の検体のイシガレイですが、94Bq/kgと、かなり高めのセシウムが検出されました。非常に気になります。アクアマリン富原獣医によると、「60㎝を超えるイシガレイは滅多に見ることはできません。相当な年だと推察していましたが、9歳を超えていました。耳石の層が厚く薄く削らないと正確な年齢はわかりませんが、たぶん10歳前後だと思われます」とのこと。

 

やはり「事故前の生まれで底魚」ということで、比較的高い放射性セシウムが検出されてしまいました。富原先生によれば、カレイの仲間は寿命が長く15年ほど生きるようですので、世代が一回りするまでは注意深く見ていかなければなりません。

 

カレイといっても、うみラボアドバイザーの津田せんせいによると、「イシガレイはかなり獰猛な魚で小魚や貝まで食べ、どちらかというとヒラメに近い生態の魚です。底引き網の試験操業の対象になっているマガレイなどとはかなり違い「カレイ」と一括りにできないんです」とのこと。なるほど。カレイといってもいろいろあるわけですよね。

 

沖合に生息するムシガレイやサメガレイなどは生息環境があまり汚染されていないので汚染度は低いものの、沿岸性のカレイで大型のものは汚染が残ってるようです。特に、マコガレイ、イシガレイ、ババガレイ(ナメタガレイ)は、まだ気を付けないといけません。

 

そして、こうしたマコやナメタは、いわきの漁師がもっとも得意とする、そしていわきの漁業が育成やブランド化に力を入れて来た魚種でもあります。そうした「沿岸性のカレイ類」にセシウムの影響が強く残ってしまっているというのは、ほんとに悔しいことです。地物が食えないわけですから。

 

今後しばらく、沿岸性のカレイを注視していく必要がありそうですね。釣らねば!!

 

さて、今回はいちえふ沖10kmで釣った魚をメインにレポートしました。23日の調べラボでは、今回のうみラボで釣り上げた「2km沖の魚」について重点的に計測していきます。そしてなんと試食は「ワタリガニ」関連という話が漏れ伝わってきております。行かねば! そして食べねば!!!!

小松けんきゅう員
小松けんきゅう員

うみラボけんきゅう員。釣るよりも食べるほうの専門。