第18回いちえふ沖海洋調査レポ
皆さんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。
7月は沖縄旅行に行きまして欠席、そして8月は高波で順延ということで、3ケ月ぶりのうみラボ乗船となりました。天気は悪かったんですがね、しかしまあ海はいいもんです。船に揺られ、美しい風景をぼんやりと眺めながら、おしゃべりをしながら、そして楽しい釣り。なにも言うことがありません。確かにうみラボの主戦場は第一原発沖なんですが、いやあ、やはりうみラボの時間は格別です。
前回のうみラボから、元東電社員であり、いちえふ内の視察コーディネートや廃炉に関する情報発信を手がけているAFWの吉川彰浩さんに協力メンバーとして加わって頂きました。いちえふ前で、汚染水対策や廃炉の現状についてレクチャー頂くことになりました。ぜひ皆さん、うみラボに参加する機会があれば、吉川さんのレクチャーを聴いて下さい。陸路と海路、2つから把握できれば怖いものはありません!
が、しかし、わたし今回久々のうみラボということもあり、吉川さんのレクチャーの様子も、アクアマリン富原せんせいの採泥の様子も、写真を撮るのを忘れました。本当に申し訳ありません。みんなが釣りを楽しんでいる光景と「釣ったどー!」の写真を撮るのに夢中だったんです。なので今回のレポート、完全に「釣りブログ」となることをお許し下さい。いやむしろ、うみラボの本質には近づいているわけですが(汗)
うみラボは、毎回20名のチームで海洋調査に向かいます。うみラボメンバー、そしてアクアマリンふくしまの吉田せんせい&富原せんせい、さらにはサンプル魚の採取や釣りをサポートして頂く「釣りボラ」の皆さん、そして一般の皆さん。職業も年齢も出身地も、ましてや政治的な信条も関係がありません。船の上ではみんながチーム。船長の命令は絶対です。ある意味での「呉越同舟」的な構図になるのがうみラボの面白いところですね。
まず今回は、関西大学の学生たちが乗船してくれました。前述の吉川さんのツアーのため福島入りしていた彼ら。吉川さんの勧めで、うみラボの船に乗ってくれたのですが、いやあ釣るわ釣るわ。大型のヒラメ、アイナメなどを次々に釣り上げていました。関西含め西日本のほうでは事故直後のイメージがからなかなか抜け出せていない方も多いはず。若い彼らが、どのように福島の今を伝えてくれるのか期待しています。
さらに、今回は金髪のメディアアクティビスト、津田大介さんも乗船。うみラボ発足当時から乗りたいと言って下さっていたんですが、ようやくの乗船となりました。ヒラメ、アイナメ、ワカシなどかなり釣り上げてらっしゃいました。20年ぶりの釣りとのことでしたが、さすが、しっかりと結果を残していかれました。
それにしてもこの日はヒラメがすごかった。70cmを超えるようなヒラメがガシガシ釣れるんです。本当にこの海域の資源回復の具合は凄まじいものがあるのでしょう。しかしながら、実はヒラメというのは「デカけりゃいいってわけじゃない」魚なんですね。大きくなりすぎると、味がぼやけてしまい、市場での価値も下がってしまうそうです。聞けば、50cm前後のヒラメが一番旨味があって人気があるのこと。へえ、そうなんだ、70cmのもうまいし問題ないと思いますけどね。
70cmを超えるような個体は、おそらく「震災前生まれ」の個体と推察されますが、市場に出回る50cmくらいのサイズのヒラメはいずれも「震災後生まれ」です。震災後生まれのヒラメは、放射性物質がすでに広く希釈された海で育っていますので、ほとんどの場合N.D.、検出しても一桁くらいに収まります。ですので、現在試験操業の行われているヒラメが、漁協の出荷基準50Bq/kgを超えることはほぼないのではないかと思われます。もちろん何が起きるか分からないので調査は続けるべきですが。
震災後初めてとなるいわき産のヒラメ。ご祝儀価格の側面もありますが、大川魚店さんでは1尾12,000円だったそうです。そしたらあんた、私たちがこの日に釣ったヒラメの末端価格いくら相当よという話ですよね。しかも5年半ぶりのヒラメの競り、結局いわきの市場に出てきたのはたったの6枚だそうじゃありませんか。いわき市全体の流通量6枚に対しうみラボの釣果は20尾以上。我々の「ヒラメ漁獲力」は、いわき市漁協を上回るものだったのですドヤァァァァァァァァッッ!
さて、今回の第18回うみラボで釣り上げた検体ですが、9月の第3日曜日、9月18日にアクアマリンふくしまで行われる計測イベント「調べラボ」にて放射性物質を測ります。試験操業になったばかりのヒラメ、実際にはどうなのか、検証していきます。お楽しみに。