第20回いちえふ沖海洋調査レポ
みなさんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。
おそらく公式には今年最後(コラボイベントが予定されているけど)になる「うみラボ」のいちえふ沖海洋調査の模様をレポート致します。調査日は11月13日でした。11月6日本来はやる予定だったんですが、波が高いってんで延期になったんですけれども、なんだよこの日もすげえ波高いじゃんと。しかしどうしても11月中にやりたいということで、波が少し高いのは承知で行って参りました。
それにしても天気最高。11月だというのに「日焼け」を心配してしまうほどの日差し。やはり東北の湘南であります。
ではまず当日のいちえふから。
報道されている通り、1号機の建屋カバーが外されておりました。写真中央左、黒い骨組みがむき出しになってるのが1号機ですね。いやあ、ここは事故があった原発なのだと痛感させられますが、放射性物質の飛散の対策がすでに構築されたからこそのカバー取り外しですからね、それだけ廃炉のための作業が進んでいるということの証左であるわけです。現場の皆さんには頭が下がります。
そして、現在、うみラボと提携して参加して下さっている一般社団法人AFWの吉川さんによるレクチャーも、いちえふ前で行われました。吉川さんのレクチャーは、すでに公表されているデータや最新情報をもとに構成されているので、まず情報が新しい。一口に「汚染水」と言ってしまいそうな「水」問題の説明も非常にクリアで、日々こうしてアップデートせねばなあと思いを新たに致します。
吉川さんのレクチャーが終わると、本番です。
毎回うみラボでは、「原発近傍(2〜3km沖)」と「10km」沖の2カ所で調査を行っています。これは、浅場と深場で、魚の放射線量に違いが出るのかなどを見極めるために行っています。特にアイナメなどの魚は、成長すると沖に行く習性があり、もし成長していない若いアイナメから放射性物質が高めに検出されれば、何らかの汚染水が漏れ出していると想定でき、現状を把握するための重要な材料になります。
今回も、まずは原発沖3kmのポイント、それから10kmのポイントの2カ所で釣りを行いました。だいたいうみラボに来るのは釣り初心者ばかりですが、なんだかんだまとめてくるのがうみラボ。今回も高波と水の濁りで「正直あかんな」と思ってましたが、充分な釣果を残すことができました。船長のおかげですね。
では釣果を振り返って参ります。
まずはR命館大学のN崎さん率いる学生チーム。それぞれ釣りは初体験とのこと。男性陣は苦しみましたが、女性のN崎さんが快調。ヒラメ、イナダ、ハナザメなど順調に釣り上げてました。すごい。
R命館大学のN崎さん率いる大学生3人組チーム、ほとんど釣り初心者でしたが見事な釣果でした。
M日新聞のS山記者も取材の傍ら、数回のチャレンジで見事にマゾイゲット。取材おつかれさまでした。
在京メディアでディレクターをしているI田さんも良型ヒラメをゲット。女子部大活躍。
この日、絶好調だったのは、うみラボ特任アドバイザーの津田せんせい。仙台から久しぶりの参戦となりましたが、充分すぎる釣果を残しております。本人も大満足の様子でした。もう完全に「調査」ではなく「釣り」目的です津田せんせい。なんといういい表情でありましょうか。
そして、驚愕の90cmヒラメを釣り上げた復興庁チームの皆さん。あまりの巨体でヒラメを持ち上げることすらできませんでした。
被災地の復興に関わる仕事をされている皆さんですが、真の「復興」を感じて頂けたものと思います。
まさに「いちえふ沖の主」にふさわしい迫力。何人分の煮付けが作れるのでしょうか。
うみラボ史上最大の90cmのヒラメ。これを釣り初体験の女性が釣り上げるというすごさ。
こちら90cmヒラメですが、まあどう考えても震災前生まれでしょう。しかも、震災前生まれのヒラメではおそらく最大級かと思います。現在の原発近傍の海域の状況を理解するためにもとても良いサンプルになると思います。11月20日の「調べラボ」で線量測定することになろうかと思います。これは重要な検体になること間違いなしですね。しかしでかい。
福島市より参加して頂いたリゲルさんも良型ヒラメをゲット。いつも美しい福島の写真を発信してらっしゃいます。
吉川さんもしっかりとアイナメをゲットしております。
東京から参加してくれた編集者のMさん。素晴らしい笑顔ありがとうございます!
前回うみラボに奥様が参加され、評判を聞きつけて参加してくれたT本さん。親子での参加となりました。婚姻色の出てるアイナメ!
そしてお父さんと参加してくれたT本さん。若い方にも参加してもらえたのは素直にうれしいですね!
ここ最近、女子の活躍が目立つうみラボ。船長の言うことを素直に聞き入れて釣るのがいいのだそう(船長談)。
充分すぎる釣果と言っていいでしょう。どうなることかと思いましたが、なんだかんだでかなりのサンプルを捕獲することができました。これらはアクアマリンふくしまの富原せんせいチームによって線量測定されます。セシウムを溜めやすいとされるハナザメも釣れました。こちらも調べラボで測定されるものと思われます。
さて今回でうみラボも「20回目」の節目なわけですが、改めて、福島の海の回復を実感することができました。汚染からの回復、資源量の回復、2つの意味で大きく回復してきています。原発事故直後は「もう福島の魚は食えねえだろうな」と半分思ってましたが、よくぞここまでと痛感しました。
放射性物質についてはほぼ無知、「自分たちで見てみたい」という気持ちだけでスタートしたうみラボですが、様々な専門家の皆さんの協力で、科学者でも専門家でもないイチ市民が20回の調査を続けることができました。自分の目で見て、自分の手で釣ってそして測ることの大きさを実感しています。
最初はホームセンターで購入した寸胴鍋に鎖を取り付けて海底の砂を採取しようとしてたほどなので、今思えばバカだったなあと思いますが、今では魚から放射性物質が検出されても脊髄反射することなく冷静に分析(おれらなりに)できるようになりました。市民の科学も捨てたものではないですね。
次回うみラボですが、来週、「福島OM(オフサイト・ミーティング)」とのコラボ調査が予定されていますが、公式には今回で今年最後となります。来年3月か4月の再開となります。いちえふ沖の調査は、いろいろな同行頂きたいので、ぜひまた来年もよろしくお願いします。調査以外にも、調べラボほか、魚に関するイベントは行われますので、ぜひこのウェブサイトをチェックしてみて下さい。
では皆さん、20日の調べラボで会いましょう。