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第2回調べラボ・調査&計測結果 – いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
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第2回調べラボ・調査&計測結果

第2回調べラボの結果について報告しますね。

 

「調べラボ」というのは、私たち「うみラボ」と「アクアマリンふくしま」の共同企画でございまして、福島県沖で釣った魚の放射性物質をオープンな形で計測し、魚について学び、そして試験操業の魚をおいしく頂いちゃおうというイベントです。

 

土曜日の「うみラボ」と日曜日の「調べラボ」というようにセットになってまして、土曜日に原発沖で釣り上げた魚を日曜日に計測するというスタイルで、先月からスタートしました。

 

と・こ・ろ・が、

 

今月はですね、調べラボの前日に予定されていた第10回福島第一原発沖海洋調査が高波のため出港できなかったんです。波高2〜3mということで、さすがに一般の方を乗せて釣りやるのはマズかろうと。そこで今回は、事前に市内の港や海岸などで釣り上げた魚を使って放射性物質の計測をやるということになりました。

 

具体的には、勿来海岸で捕まえたヒラツメガニ、小名浜港のイシガニ、同じく小名浜港で釣り上げたホシエイという3種類の魚介類の放射性物質を測ります。原発沖の魚ではありませんが、しかしかえっていわき市内のローカルポイントのリアルな数字がわかるかと思います。これはこれでめちゃくちゃ大事なデータだと思いますよ!

 

まずはこちら、勿来海岸産ヒラツメガニ。

 

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ちょっと画像に加工が入ってて色に少し違和感ありますが、、、

 

ヒラツメガニといえば、そうです通称「エッチガニ」。茹でてそのまま食うのが最高ですが、味噌汁に入れても最高ですよね。甲羅に「H」のような模様があるので、いわきでは「エッチガニ」と呼ぶ人が多いです。非常に美味ですよね。わたしも小さい頃によく食いました。父が四倉港のそばで働いていてよく持って帰ってきてくれたんですよね〜。懐かしい!

 

ちなみにこちらのカニはすでに試験操業が行われております!!

 

で、結果です。コチラ!!

 

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結果はN.D.でした。アクアマリン富原せんせいによる詳しい解説は下のほうで紹介します。

 

次に2種類目。小名浜港産イシガニ!!

 

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夜になると小名浜港の岸壁にひっついてるんですって! いやあそれにしてもこちらもうまそうなカニですね。防波堤から直接狙えるカニでして、しかも味噌汁にするのに最高とのこと。そのまま半分に甲羅ごと切って、トマトと煮込んでパスタソースにしたりしたら最高じゃね? いやあ、考えただけで生唾出てきますなあ=3

 

ちなみにイシガニは全国的にあまり流通しない種類であるようで、そもそも試験操業の対象には入っていません。でもこれ、けっこう珍味として可能性あったりするのかもしれません。

 

で、カニの放射性物質の計測なんですが、筋肉だけ取ろうとすると、メヒコのカニピラフみたいに全部掘っちゃくって身を出さないといけない。それはあまりに手間がかかるということで、3日ほど乾燥させて、それを潰して粉砕して粉々にして、ふりかけのような状態になってからその粉を計測するんです。

 

乾燥させたのがコチラ。純度100%のイシガニパウダー!!

 

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調べラボでは、粉にする工程まで私たちの目の前でやってくれるんですが、それが実に面白い。中学校の理科の実験みたいな面白さ。「へぇ〜〜」という発見や驚きがいくつも転がっています。

 

しかしねえ、それにしてもとてつもないカニ臭が部屋に充満します。なんというかあの旨味と甘みの混じりあったアレですよ。すごいです。

 

で、結果です。コチラ!!

 

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こちらもN.D.でした。乾燥させると精度があがって検出限界値が下がるのですが、それでもN.D.。甲殻類はもともとセシウムを貯めにくいということがわかっていますが、それを裏付けるデータで安心できますね。

 

以下、富原せんせいの解説です!

 

甲殻類は放射性セシウムを蓄積しにくいので、事故後、海の汚染が改善されると速やかに汚染度は低下しました。ただし、甲殻類の中腸腺(カニみそ)は放射性銀が蓄積されやすく、事故後1~2年は高い値を示したのではないでしょうか。しかし、放射性銀の半減期は約250日で、すでに6半減期ほど経過していますので、現在では非常に低い値になっていると思われます。
当館のNAIシンチレーション式検出器は分解能が低く、放射性銀はエネルギーのピークの近い放射性セシウムとして検出されてしまいます。2013年の測定では放射性セシウムが検出され、甲殻類なのに何故、放射性セシウムが検出されるのか疑問に思っていましたが、放射性銀の存在を知って納得したのを覚えています。今回の結果はN.D.でしたので放射性セシウムも放射性銀も非常に低い値だったのだと思われます。

 

 

さて続いての獲物はホシエイです。ホシエイっつっても干したエイじゃございません。はじめからホシエイという名前のエイです。

 

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これですねえ、なんとなんと、肝が大きく美味で刺し身で食べられるため、牛や豚のレバ刺しに代わるものとして注目を集めているんですって!! マジか!!!!と思ってネットでいろいろ調べてみたらエイのレバ刺しは断然うまいらしいっすね。いやああああ、食べたい。

 

しかし、エイ類は震災後は高めの放射性物質が計測されていますし、コモンカスペなど食用されていた種類も、まだ試験操業の対象にはなっていません。今後、継続して慎重に調査していくべき魚種です。今回はどうでしょうか。

 

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結果はN.D.

 

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コチラも結果はN.D.

 

というわけで、計測した2尾ともN.D.でした。

 

アクアマリンの富原せんせいによると、ホシエイは普段、外洋に生息しているが、6月ぐらいに沿岸にやってくるようで、今だと夜に水族館のすぐ前で簡単にすくえるそうです。

 

エイやサメなどの軟骨魚類は硬骨魚類(普通の魚)に比べて放射性セシウムを蓄積しやすいため、コモンカスベなどは食品の基準値である100Bq/kgを超える個体も昨年まではしばしば見受けられましたが、富原せんせいによれば「ホシエイは原発事故直後は深い海にいたためあまり汚染されなかったようで、当館の測定結果では毎回N.D.となっています」とのこと。

 

ホシエイは6月くらいになると沿岸にやってくるが、3月くらいはまだ寒くて深い海にいた。だから汚染を免れた。そうすると、年齢もさることながら「3月〜4月の間どのあたりを泳いでいたか」を知ることが、魚種の放射性物質の傾向を読み取ることにつながるのか・・・。

 

いやあ、魚の生態を知ることが、海洋汚染の状況を読み解くヒントになるわけですね。うむ。我々はこれからも魚のこともっと勉強しなければいけないようです!

 

そしてぇぇぇぇぇ!!

 

調べラボといえば、試験操業の魚の試食です! 食わずにはいられません!!!

 

まず一品目がこちら。ヒラツメガニのカニ汁

 

うまさを語ると野暮。ですから多くは語りません。ああああうまかった!!

 

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そして二品目がマダラのフライ。

 

揚げたて。要するにフィッシュアンドチップスのフィッシュのほうですね。

 

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福島の魚について詳しくなる学びの場であるうえに、うまいもんまで食えるなんて・・・なんだろうこのイベント。思わずマダラのフライ3つも食べちゃいました(すまそ)。

 

いやあ、この日は日曜日ということで家族連れのお客様がたくさん来てくれました。うまそうな匂いに釣られたのか、皆さん二品とも試食して下さいました。試験操業の魚を普通においしく食ってる状況、積み重ねたいですねえ。いやあ、これが本来あるべき姿ですよ。

 

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来月も、調べラボは第3日曜日に開催されます!!

 

YOU、来ちゃいなよ! 来月の調べラボに!!!

小松けんきゅう員
小松けんきゅう員

うみラボけんきゅう員。釣るよりも食べるほうの専門。