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第18回調べラボ「超巨大ヒラメ測定」
みなさんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。11月20日開催された「調べラボ」の模様、データも揃いましたのでこちらでご報告致します。今回は何といってもうみラボ史上最大となった90cmヒラメの測定結果が気になるところですね。
が、わたしこの日は「福島オフサイトミーティング」という別の企画とのコラボうみラボがありましてね、そちらに参加しておったものですから、調べラボには行けませんでした。試食はトップの画像にあるように「マアナゴの天ぷら(というかフライ?)」でした。ふわっふわのマアナゴ。おれも食いたかった・・・・。
さてこの日の調べラボ、団体さんの入場などもあって大変盛り上がりました。調べラボにお越し頂くお客さんを見てますと、「たまたま水族館にいたからこちらにも来た」というパターンが実際には多いのですが、「調べラボを見に来た」という方も増えてきているように思います。こうして関心を持って下さること、大変有り難いですし、そうですよね、気になりますよね、という共感を覚えたりもします。
やはり、できることなら自分たちで調べたいものですし、自分たちで調べた、目の前で調べたものだからこそじわじわと実感が湧いて、安心というものにつながるのだと思います。今回で18回目となる調べラボですが、やはりじわじわと効いてきてるなあという気もします。こうして続けて開催して頂いていること、改めてアクアマリンふくしまの皆さんに御礼申し上げます。
さて、気になるヒラメもありますので、早速計測データの紹介をしていきます。
今回線量測定を行うのは、11月13日に開催された第20回いちえふ沖海洋調査で釣り上げた魚です。この日は高波で大変でしたが、女性陣の大奮闘によってかなりの釣果を残しまして、うみラボ史上最大の90cmのヒラメも漁獲しています。今回の調べラボではこれを測りました。下の図の画像をクリックするとすべての検体の結果をまとめたPDFが開きますので、興味のある方はそちらもぜひご覧下さい。
さて、どうでしょうか。「青」になっている検体が「検出」されたもの。90cmヒラメは実際には死後硬直?で88.2cmということでしたが、こちらは想像以上に出ませんでした。しかし10km沖のキツネメバルが40Bq/kgオーバー。気になる結果になっています。
ヒラメから見ていきましょう。
これまでのわたしたちの調査では、最大サイズ。それなりの線量が出ることも予想されましたが、意外にも低い14.6Bq/kgでした。獣医の富原せんせいによると、このヒラメの年齢は推定11歳。当然ですが震災前生まれの高齢ヒラメです。これまでのうみラボの調査では、震災前生まれで、震災時すでに成魚だった7歳以上の個体から放射性物質が検出される傾向にありましたが、今回も同様の結果ですね。
富原せんせいによれば、事故前生まれで原発周辺から動かなかったヒラメでは大体このぐらいの数値が最大なのではないか、とのこと。たしかに今年のうみラボでも漁協の基準である50Bq/kgを超えるヒラメは出ていませんし、高くても10Bq/kgほどでしたので、このくらいが最大なのかもしれません。しかも原発近傍の海域ですので、距離が離れれば安全性もそれだけ高まります。ヒラメの試験操業がすでにスタートしていますが、ヒラメの解禁の判断は、非常に慎重な、そして妥当な判断だったと言えるのではないでしょうか。
つづいての検体はアイナメです。アイナメは、すでに試験操業の対象になっておりまして、地元の鮮魚店などでも流通し始めていますね。まだまだ量が少なく、したがって値も張るそうで、なかなかにお目にかかれないお魚になってしまいましたが、いわゆる「常磐もの」のなかでは、かなりメジャーな存在でして、常磐のアイナメといえばファンの多い食材ですよね。
今回の結果は2検体ともN.D.でした。しかも2kmのほうは3個体を1検体として測っていますがN.D.。小さなアイナメというのは沿岸に寄るため当該海域の影響を受けやすい魚だと言えます。しかしN.D.。富原せんせいからも「このままN.D.が続けば遮水壁の効果が出てきたのがわかるかもしれません」というコメントを頂いています。アイナメが低い。これは大変喜ばしいことです。
ブリはもう皆さん大丈夫ですね? こちらは回遊魚ですので放射性物質は検出されません。海流に乗って移動する魚であり、原発近傍まで来たとしてもすぐに移動してしまうので、海水の影響を受けないからです。確かに、原発事故直後では一時的に放射性物質が検出されることもありましたが、5年8ヶ月が経過した現在、回遊魚から放射性物質が検出することはなくなっています。
そして、気になるキツネメバル。ちょいと高めの40Bq/kgが検出されました。Cs134が検出されたのは久しぶりですね。以下、富原せんせいからのコメントをまるごと紹介しておきます。
〜〜キツネメバルの40㎝超えは超大型です。大きいので1個体で測定できました。結果は40.2Bq/kgと比較的高い数値となりました。耳石から査定すると11歳以上ということがわかりました。キツネメバルの寿命は20年ほどあるといわれており、20歳のキツネメバルだと50cmほどになるそうです。キツネメバルは一度岩場に付くとほとんど移動しないと言われています。船釣りでもポイントが少しずれるだけで釣れないそうです。
今回の測定をするまで原発沖の海域で一番Cs137を持っているのはシロメバルと思っていましたが、事故当時に成魚だったキツネメバルが一番、高い数値になるのかもしれません。水槽でシロメバルとキツネメバルを一緒に飼育したことがありますが、真っ先に餌を食いに来るのがキツネメバルでした。事故直後の大量の汚染水が流されたときに最も汚染された餌を食べていたのがキツネメバルだったのかもしれませんね。〜〜
うむ。確かにシロメバルよりキツネメバルかもしれませんね。なぜか。富原せんせいの言うように「食欲が旺盛」というのが関係しているようです。いやあ、シロメバルよりもキツネメバルのほうがガっつく、なんてこと、水族館の人か釣り人しか知らないっすよ。こういう「現場に基づいた推測」ができるというのが調べラボの強みかもしれません。キツネメバル、通称「マゾイ」。これからも注意して釣っていかねばならぬようです。
そして最後のハナザメ。かなり大型のサメでしたが、富原せんせいによれば今年生まれの個体とのこと。軟骨魚類はセシウムを溜めやすいとこれまで学んできたのですが、それでも不検出でした。食べるものでもないので高くてもさほど気にはなりませんが、セシウムを溜めやすいということは、当該海域の状況を知るためには良い素材です。今後も釣れるもんなら釣りたいですね。
今回のレポートは、こんなところです。11月20日に行われた福島オフサイトミーティングとの合同調査の結果についても、すでにデータをもらっていますので近日中にこちらにアップしたいと思います。ではでは。